埋文データ
台方宮代(2) 1号墳の概要

 1号墳は、直径が約30m、高さが約6mの古墳です。古墳の墳頂部からは、木棺を直接埋めた主体部と呼ぶ埋葬施設が、2基見つかりました。主体部の主軸方向は、2基とも北東から南西方向へ伸びています。
 1号主体部は長さ約3m、幅約0.75mです。出土品は剣が1振、石製刀子2点のほかに、主体部の北東側から滑石製の臼玉がまとまって見つかっています。2号主体部は長さ約5.5m、幅約0.9mです。出土品は剣と刀が1振づつ、石製刀子2点と、滑石製の石枕が主体部北東側から見つかっています。また、滑石製の臼玉が、主体部の北東側と南西側にまとまって出土しています。
 出土遺物から、1号墳は、古墳時代中期前葉(5世紀前半)に作られた可能性が高いと考えられます。本遺構の被葬者はいったいどのような人物だったのか、今後の調査や整理の成果をより検討していく必要があります。
台方宮代遺跡(2) 1号墳

台方宮代遺跡

石枕(常総型石枕)
 古墳の埋葬施設に置かれた死者の枕です。大きさは、縦、横共に約26cm、高さ5cmを測り、重さは8.1kgあります。滑石を加工してつくられており、高縁と呼ばれる段をもち、頭を納める部分を彫り窪め「Ω形」に作り出しています。外側には、立花を装着する穴が7個あります。また、裏面には表面と同様の形に彫り窪めた跡が見られます。
 周囲を有段に削り出し、立花を装着する孔をあけている石枕が、主に千葉県北部から茨城県南部にかけて集中的に分布し、古墳時代中期前半から後期までの比較的短い期間のみ副葬されました。

剣・刀
 今回1号主体部の中央付近から、長さ64.3cm、幅3cmの刀が出土しています。2号主体部は、北東側から長さ85cm、幅3.3cm程の刀と、中央やや南東側から、長さ32cm、幅3.3cmの剣が1振りづつ出土しています。古来より武器としてだけでなく、権力の象徴とされています。

石製模造品
 古墳時代を中心として、祭祀や供物用に作られた石製品です。
 今回の調査では、糸を紡ぐための紡錘車や、刀子、鏡を模造したとされる有孔円盤、勾玉などの製品が出土しています。盛んに作られる時期は5世紀から6世紀初頭までと考えられています。

石製模造品
臼玉(小玉)
 今回、1号墳、2号墳共に埋葬施設からは全て臼玉等の玉類が出土しています。これらはひもに通して、アクセサリーなどに使われていました。今回出土中にはガラス製のものもありますが、多くは滑石製でした。


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