ムササビ博士の考古学入門
  いせきQ&A


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ムササビ博士のちょっと一息 いんば君

3(スリー)スペースでの実測

 最近では、コンピューターを使った実測も行われています。例えば『3(スリー)スペース』という方法があります。  基本的には『土器の形になる。』という簡単なことです。コンピューター上でつくった3次元空間(じげんくうかん)に、計測(けいそく)した点を表(あらわ)すと土器の形や文様(もんよう)が描(えが)きだされます。  紙に打ち出してみると、高性能(こうせいのう)なコンピューターを使っても、土器の持つ美しい曲線(きょくせん)は描(えが)かれません。そこでコンピューターの打ち出した図を、人間が修正(しゅうせい)・補足(ほそく)して実測図(じっそくず)にするのです。
 
 
実測図 3スペースでの実測風景
3スペースでの実測風景
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おわりに


いんば君: 発掘調査(はっくつちょうさ)が終わった後の遺跡(いせき)はどうなるの?

ムササビ博士: 悲しい話だが、開発(かいはつ)で多くの遺跡(いせき)が消滅(しょうめつ)してしまうのが現状なのじゃよ。私たちは、開発がなければ生活していくことはできないのだな。

いんば君: それじゃ、発掘調査(はっくつちょうさ)が終わると遺跡(いせき)はなくなっちゃうんだね…。

ムササビ博士: いや、そうではないのだよ。遺跡はなくなってしまうけれど、『発掘調査報告書(はっくつちょうさほうこくしょ)』として残るのだな。そのほかに、遺跡発表会(いせきはっぴょうかい)、展示会(てんじかい)、博物館(はくぶつかん)などでも出会う事もできるのだよ。

いんば君: 遺跡はなくなっても『発掘調査報告書(はっくつちょうさほうこくしょ)』として永久(えいきゅう)に残るんだね。

ムササビ博士: そのとおりだよ。発掘調査することによって、歴史(れきし)を塗(ぬ)り替(か)えるような発見を掘り起こし、またみんなが住んでいる地区(ちく)・地域史(ちいきし)の解明(かいめい)に役だっているのだな。過去の歴史を掘り起こすということは、つまり未来への道筋(みちすじ)を明らかにするということなのだよ。

いんば君: とっても重要な仕事をしているんだね。

ムササビ博士: 遺跡を発掘するということは、たとえていうなら、地中に眠っている種(たね)(遺跡(いせき))に、水や肥料(ひりょう)(調査)を与え、手入れ(努力(どりょく))したぶんだけ綺麗(きれい)な花が咲く(歴史を確かめ、新しい事実(じじつ)を発見する)ようなものかな。
地中に眠っている花を綺麗(きれい)に咲(さ)かせるには、発掘調査(はっくつちょうさ)や整理作業(せいりさぎょう)にかかわる人々みんなの熱意(ねつい)にかかっているのだよ。最後に、いんば君!遺跡を大切に思う心を忘れないでな!

いんば君: うん、忘れないよ。色々ありがとう、ムササビ博士!

 
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