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台方宮代遺跡(2)現地説明会資料
平成22年1月30日 13:00~15:00
主催 成田市教育委員会 印旛郡市文化財センター
後援 成田市文化財保護協会
台方宮代遺跡(2)(1)は、印旛沼に注ぐ江川の下流、標高約23mの台地上に存在します。 調査の結果、現在のところ古墳2基、弥生時代中期~平安時代の住居跡が9軒見つかっています。 本遺跡の周辺には、現在の成田ニュータウン地区に公津原古墳群が展開しています。
その中でも本遺跡の近くには、奈良・平安時代で印旛郡域唯一の式内社である麻賀多神社の奥宮があり、隣に印旛国造、
伊都許利命
いつこりのみこと
の墓と 伝えられる天王船塚27号墳(2)があります。
また、昨年調査を実施した船形手黒遺跡(4)では同様に古墳が見つかっており、石枕や滑石製品、刀、鉄鏃、ガラス製の小玉、鏡等が出土しています。 さらに隣接する台方宮代遺跡(5)でも古墳が見つかっており、主体部からは剣と滑石製の臼玉等が出土しています。
台方宮代(2) 1号墳の概要
1号墳は、直径が約30m、高さが約6mの古墳です。古墳の墳頂部からは、木棺を直接埋めた主体部と呼ぶ埋葬施設が、2基見つかりました。主体部の主軸方向は、2基とも北東から南西方向へ伸びています。
1号主体部は長さ約3m、幅約0.75mです。出土品は剣が1振、石製刀子2点のほかに、主体部の北東側から滑石製の臼玉がまとまって見つかっています。2号主体部は長さ約5.5m、幅約0.9mです。出土品は剣と刀が1振づつ、石製刀子2点と、滑石製の石枕が主体部北東側から見つかっています。また、滑石製の臼玉が、主体部の北東側と南西側にまとまって出土しています。
出土遺物から、1号墳は、古墳時代中期前葉(5世紀前半)に作られた可能性が高いと考えられます。本遺構の被葬者はいったいどのような人物だったのか、今後の調査や整理の成果をより検討していく必要があります。
石枕(常総型石枕)
古墳の埋葬施設に置かれた死者の枕です。大きさは、縦、横共に約26cm、高さ5cmを測り、重さは8.1kgあります。滑石を加工してつくられており、高縁と呼ばれる段をもち、頭を納める部分を彫り
窪め「Ω形」に作り出しています。外側には、立花を装着する穴が
7個あります。また、裏面には表面と同様の形に彫り窪めた跡が見
られます。
周囲を有段に削り出し、立花を装着する孔をあけている石枕が、主に千葉県北部から茨城県南部にかけて集中的に分布し、古墳時代中期前半から後期までの比較的短い期間のみ副葬されました。
剣・刀
今回1号主体部の中央付近から、長さ64.3cm、幅3cmの刀が出土しています。2号主体部は、北東側から長さ85cm、幅3.3cm程の刀と、中央やや南東側から、長さ32cm、幅3.3cmの剣が1振りづつ出
土しています。古来より武器としてだけでなく、権力の象徴とされ
ています。
石製模造品
古墳時代を中心として、祭祀や供物用に作られた石製品です。
今回の調査では、糸を紡ぐための紡錘車や、刀子、鏡を模造した
とされる有孔円盤、勾玉などの製品が出土しています。盛んに作
られる時期は5世紀から6世紀初頭までと考えられています。
臼玉(小玉)
今回、1号墳、2号墳共に埋葬施設からは全て臼玉等の玉類が出土しています。これらはひもに通して、アクセサリーなどに使われていました。今回出土中にはガラス製のものもありますが、多くは
滑石製でした。
台方宮代(2) 2号墳の概要
2号墳は、直径が最大で約10m、高さが1m程の古墳時代前期の終わり~中期の初頭にかけて作られた古墳です。1号主体部からは滑石製の臼玉や管玉の他、ヒスイ製の勾玉や、ガラス製の小玉も出土しています。墳丘からやや外れた場所にある2号主体部からは、300点を超える大量の臼玉が出土しています。また、古墳の周りを巡る周溝と呼ばれる溝からも埋葬施設が1基見つかっています。中からは副葬品として、滑石製の臼玉、琥珀製の
棗
(
なつめ
)
玉や、
坩
(
かん
)
と呼ばれる小型丸底壺が出土しています。