埋文データ

2.井野長割遺跡の特徴

 遺跡を最も特徴付けるのは縄文時代後・晩期に構築された「環状盛土(かんじょうもりど)」である。盛土とは縄文人が土を盛り上げて造った高まりで、環状盛土遺構は遺跡中央の窪み(中央窪地(ちゅうおうくぼち))に沿って盛土が環状にめぐる遺構である。環状盛土遺構は北海道から関東まで、時期的には縄文早・前期頃から認められるが、井野長割遺跡の場合は、盛土が古墳のように1つずつ独立して連なっているところに他の遺跡のどこにもない特徴がある。また、谷頭および斜面地の埋め立ても行った形跡があり、縄文人の大土木工事と位置づけられる。

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地形が残存する環状盛土東側半分を測量し、3D化した。半弧状の外郭と、内側の2つの盛土、崖線を埋め立てたコンタラインがみられる。高さは5倍に強調してある。(提供:株式会社パスコ)

原地形の残存する東側の測量図に、昭和40年代作成の地形図、及び断片的に残る情報を加え、全体を復原した。西側盛土の形状は第8次調査の結果、修正が必要である。高さは10倍に強調してある。(提供:株式会社パスコ)