埋文データ

3.遺跡の現況

 東側半分は山林で、非常に良好に遺構が残っている。現存する盛土は4ヶ所あり、環状の外郭を形成するマウンド1・4と、環状の内側に位置するマウンド2・3からなる。最大のものは「マウンド1」としたもので、規模はおよそ長さ60メートル×幅30メートル×高さ1.5メートルである。しかし、西側の井野小学校敷地内は学校建設時にほとんどの盛土が削平されて消滅している。現存する盛土は1ヶ所で、かろうじて小学校の自然観察園として残っている。このため、環状盛土の正確な範囲と形状は残された情報を総合し、発掘調査による資料収集を積み重ねることによって推定してゆくことになる。現状の解釈では、盛土と窪地の形はともに南北に長い楕円形と推定され、環状盛土の直径は長軸約160メートル、中央窪地の直径は80メートルほどと推定され、国史跡である栃木県小山市てらの寺野ひがし東遺跡の環状盛土遺構とほぼ同規模となる。盛土は、現存するもの5基、調査後消滅1基、未調査削平1基もしくは2基以上、合計で最低7基、もしくは9基以上あったと考えられる。